挨拶・講演の要旨全文(2023年度支部総会)

■「支部長挨拶」全文

記:名古屋支部支部長・片岡嘉幸(大25)

本日は大変お忙しいところ、名古屋支部総会にご出席いただき誠にありがとうございます。私は大学25回、硬式野球部、名古屋支部長の片岡です。どうぞよろしくお願いいたします。この支部総会開催に際し、大学から学長の竹村様、陵水会から理事長の山田様を始め、山中三重支部長、大野岐阜支部長様にご臨席いただきました。静岡支部長は少し遅れての参加と聞いています。また、本日の講師として大学31回の澤田太郎様にお越しいただきました。澤田様は、大丸松坂屋百貨店の社長様です。松坂屋と言えば、江戸時代の伊藤商店から続く、名古屋では最も老舗の百貨店です。大変興味深いお話が聞けるものと期待しております。

三年半続いたコロナ生活も、ようやくこの5月8日に第5類に分類され、日常生活が戻ってまいりました。支部総会の幹事年度35回生の皆さんには、総会準備とコロナ前の出席者数を目指していただきましたが、まだ大人数の会合の参加には躊躇される方が多く、この支部総会の参加者も115名と、あと一歩の参加人数となりました。しかしながら、総会幹事として同期が集まり、一つの目標に向かって尽力していただきましたので、今後とも同期会をおこなっていただき支部活動を支えていただきたいと思います。

さて、今年は彦根高商が生まれて100周年の年です。陵水会では5年前から百年史の編纂、3年前から2億円を目標に記念募金のお願いをしてまいりました。おかげさまで2憶円の目標に対して9割がたの達成状況となってきました。ありがとうございました。この2億円の使い道は、陵水会館の耐震補強工事、百年史編纂、11月4日の記念式典や懇親会開催、彦根市民向けの市民講座開催、大学の新しいビル建設費用の一部、経済学部の新しい教材作成に使われる予定です。その中で百年史、懇親会の招待状は、募金のお金で賄われておりますので、3万円以上の募金がない方には百年史、記念式典の懇親会の案内状が届きません。まだ間に合いますのでぜひ3万円以上の募金をよろしくお願いいたします。

今回の資料の中に男声合唱団の団員募集やボート部の艇庫建設のお願い等のチラシがありました。支部としてもこのような陵水会活動を支援するとともに、ゴルフや俳句の会、勉強会や飲み会等を企画してまいりますので、是非参加いただき支部活動を盛り上げていただければと思います。

最後になりますが、本日NextRyousuiの学生さんが5名参加しております。懇親会にも参加しますので、ぜひいろいろアドバイス等をしていただきたいと思います。昨年も開催した「懐かしの彦根キャンパスツアー」を、今年も10月に予定しています。彼らは、その案内係もしていただきます。今後も陵水会は大学と一体となって、大学への支援、陵水会会員相互の懇親を深めて行く所存です。ぜひ、ご協力のほどよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

■「学長挨拶」要旨全文

滋賀大学学長・竹村彰通氏

大学ではコロナも収まってきた。若い人はあまり気にしていないこともあるのか、以前の様子を取り戻している。部活の部員募集も難しい状況だったが、今では昔のような活発な活動をしているようで、部活の成績も良いニュースが多い。

学長になって1年を過ぎたが、4年間の任期で成果を出したい。今年は、100周年行事を機に大学を盛り上げていきたい。皆様のおかげで陵水会募金の目標もほぼ達成で良かった、卒業生の皆さんとも新しい関係を築いていきたい。

=明るいニュース、その1=

昨年の文部科学省のプロジェクトで、大学院のダブルメジャーが採択された。ダブルメジャーというのは「専門領域×データサイエンス」ということ。彦根キャンパスでは「経済学×データサイエンス」。経済の大学院に「経営分析学専攻(仮称)」という新しい専攻を作って、来年(2024年)4月から募集を開始する。お手元の『(日本初)MBAN』というチラシにも掲載されているように、非常に実践的な内容の専攻となっていて、企業人のリスキリングに適した(経営学とデータサイエンスの両方で分析できる)内容。時代にマッチした人材育成ができる。

<参考>
■令和4年度大学教育再生戦略推進費「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業」に採択
https://www.shiga-u.ac.jp/6759/

■デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業~Xプログラム~|日本学術振興会
令和4年度審査結果
https://www.jsps.go.jp/j-x-pro/selection.html

=明るいニュース、その2=

建物の関係では、彦根キャンパスの中に新しい建物、特にデータサイエンス関係の企業連携を進める建物の予算を獲得できた。彦根キャンパスには、講堂や陵水会館、彦根城などで文化的な雰囲気はあったが、先進的な研究成果を見せることもできるようになった。

「学長挨拶」要旨まとめ 記:横井隆幸(大33)

■「理事長挨拶」要旨全文

陵水会理事長・山田 督(大19)氏

「彦根高商創立百周年記念運動協力への感謝」「百周年事業推進委員会を立ち上げて、母校と陵水会が一体となって推進してきたこと」「準備期間を含めると3年経過したが、募金目標は2023年6月末時点でほぼ9合目に到達していること」「予定している記念行事の紹介」「この周年運動は来年6月まで継続するので、引き続き支援・協力いただきたいこと」などを述べられました。

■予定している記念行事の紹介
・東京でのビジネスフォーラム開催 ・リカレント教育用MOOC教材リリース ・陵水会館の改修工事竣工 ・『陵水百年史』の発刊 ・市民講座の開催(幅広いジャンルから高名な先生をお呼びする) ・懐かしの彦根キャンパスツアー運営 ・11月4日のメインイベント記念式典・特別講演(滋大祭と歩調を合わせる) ・『陵水会年報』を百周年記念特別号として発刊予定

■市民講座 その他
  1. 市民講座 講堂及びリモート
    09月10日(日) パックン・マックン
    10月15日(日) ルゾンカ 典子
    10月28日(日) 磯田道史
  2. 陵水会年報 百周年記念特別号
    1)発刊:11月1日予定
    2)原稿依頼:
     1_「さぁー、次の百年に伝えよう! 50字メッセージ」
     2_「支部自慢」全20支部から600字以内で提出
     3_陵水会歴史クイズ(今井綾乃氏より提出済)
  3. 広報活動
    1)彦根市内向け 彦根駅・市役所等での垂れ幕を準備中
    2)産経新聞・京都新聞 学長と有力現役経営者の鼎談を予定
    3)学内記念植樹 桜100本を予定

■彦根高商創立百周年記念式典及び講演会 次第
【実施日】令和5年11月4日(土)13時30分から
【会場】滋賀大学講堂
【式次第】
  1. 学歌斉唱
  2. 式辞 竹村彰通 滋賀大学長
  3. 祝辞
  4. 特別講演 講師 千玄室(大宗匠)
  5. 休憩
  6. 出席者(来賓)紹介
  7. 高商校歌等演奏
  8. 閉会の辞 山田 督 陵水会理事長
    ※式次第は都合によりへ稿する場合があります

「理事長挨拶」要旨まとめ 記:横井隆幸(大33)

■「松坂屋の未来像 講演をお聴きして」全文

■講師
株式会社大丸松坂屋百貨店・代表取締役社長
澤田太郎氏(大31)
~大学31回卒、門脇ゼミ。1983年株式会社大丸へ入社。大丸神戸店でバイヤーや企画などを経験後、松坂屋との統合に伴う「大丸松坂屋本社経営企画室部長」、2011年大丸神戸店店長。2012年大丸心斎橋店店長に就任、同店の本館建て替えを指揮。2018年にJ.フロントリテイリング株式会社取締役員兼執行役員経営統括部長、2020年から株式会社大丸松坂屋百貨店の代表取締役社長に就任。~
■演題
『松坂屋の未来像』

神戸生まれ、1978年六甲学院高校卒、1983年滋賀大学経済各部卒。大学時代の思い出を語られ、50歳を過ぎてから陵水会の皆さんとも交流が始まった。と、まずはご挨拶。

■松坂屋と歴史・名古屋とのゆかり

最初に、名古屋とのゆかりに焦点を当てながら歴史を振り返りました。因みに、大丸創業の1717年当時は、八代目将軍徳川吉宗の時代。松坂屋創業の1611年当時は、二代目将軍徳川秀忠の時代。

=創業=

1582年 本能寺の変
1611年 清州越えを経て、織田信長の家臣であった伊藤蘭丸祐右が名を源左衛門と改め、伊藤屋(いとう呉服店)を創業。

参考:1610年 竹中工務店が神社仏閣の造営を業として名古屋で創業。

=女性経営者 伊藤宇多=

江戸時代に当主4代が相次いで早世する危機が訪れた時、伊藤宇多が女性経営者として腕を振るい活躍。伊藤蘭丸の血筋は絶えたが伊藤家は繋がり、その礎を築いた。※小説のモデルにもなった⇒『あきない世傳金と銀』髙田郁著

=江戸へ進出=

尾張を代表する商人となった伊藤屋は1768年に上野の「松坂屋」を買収し、「いとう松坂屋」と改め、念願の江戸進出を果たした。

=松坂屋と大丸の縁=

のちの新選組副長の土方歳三は、上野広小路のいとう呉服店に丁稚奉公に出たと言われている。また、新選組は京都の大丸呉服店を呼びつけ、隊士全員の羽織、袴などを新調した。
奇しくも、松坂屋と大丸の縁を感じる。

=企業存続の危機=

明治新政府の誕生により 、伊藤家は尾張藩の藩債の後見人にさせられ、多大な債務を背負う。松坂屋は創業以来最大の危機に瀕したが、14代伊藤祐昌がそのピンチを救う。債権者のもとを一軒一軒回り、私財で返済するため分割払いでの返済を懇願。その行動が債権者の心を打ち、皆快く了承してもらい、窮地を 切り抜けた。

=伊藤銀行(東海銀行の前身)設立=

14代伊藤祐昌が、名古屋初の私立銀行として1881年に「伊藤銀行」を設立。その後1941年、大蔵省の一県一行主義により伊藤銀行、名古屋銀行、愛知銀行の3行が新設合併して「東海銀行」が設立された。

※大丸も当時、淀屋橋のあたりで両替商を営んでいた。大塩平八郎の乱で商家が焼かれた時に、「大丸だけは焼いてはいけない。ここは先義後利の義商だ」と大塩平八郎に言われた(井原西鶴の戯曲より)
=呉服店から百貨店へ=

5代伊藤祐民は、金子堅太郎子爵から、欧米型の百貨店を作ることを勧められ、火事で焼失した市役所の土地に、デパートメントストア開設を進める。周囲の猛反対を押し切り1910年、名古屋の一等地に開業。3階建てルネサンス風の洋館、ホール、食堂の最新設備で評判となり、百貨店の大衆化に貢献した。

※1910年前後は、呉服店がデパートメントストアに移行した時期だった。三越が日本橋でデパートメント宣言、松坂屋が名古屋で開業、大丸が心斎橋で開業。※伊藤祐民は、渋沢栄一が組織したした訪米団にも参加(名古屋から3人参加したうちのひとり)。大正から昭和初期にかけて活躍。名古屋市や松坂屋の近代化に貢献した(名古屋ロータリーの初代会長、名古屋商工会議所の会頭も務め、財界に影響力があった)。

1910年3月5日に栄町で開業した松坂屋は、3Fにホールや食堂があるような百貨店だった。
※食堂では洋食を扱い、クレハ倶楽部(ホール)は300名を収容できて、演劇やイベント、講演会、発表会に使われた。

=いとう呉服店少年音楽隊=

百貨店開業の翌年1911年、「いとう呉服店少年音楽隊」は伊藤祐民の文化志向により、クレハ倶楽部で実施する催事を盛り上げるため創設された。第一回全国選抜中等学校野球大会(現在の春の選抜高校野球大会)開会式で演奏。以降15回大会まで務めた。1938年、活動拠点を東京に移し「中央交響楽団」に改称。1948年「東京フィルハーモニー交響楽団」となり、日本最古のオーケストラとして現在に至る。

=日本初のサービスを次々と打ち出す=

土足入場実施
関東大震災後の1924年、松坂屋銀座店は全館を土足入場に踏み切った。畳敷き下足預かりが一般的だった百貨店業界にとっては衝撃的であったが、多くの大衆に受け入れられるきっかけとなった。

エレベーターガール登場
1929年、松坂屋上野店に日本初のエレベーターガールが登場。当時は昇降機ガールと呼ばれ「婦人職業の新進出」と言われた。この上野店のエレベーターホールは、現在も当時のまま残っている(エレベーターガールはいません)。

デパ地下の第一歩
1936年、地階に食品の「東西名物街」を設置。欧米の百貨店との違いの一つに名店街がないとの認識もあり、全国から名物を取り扱う名店を誘致した。その後、松坂屋各店のみならず百貨店業界に広がりデパ地下の走りとなった。

=名古屋観光ホテル設立=

1936年、伊藤祐民が中心となり設立された名古屋最古のシティホテルが「名古屋観光ホテル」である。 祐民は、名古屋の発展について商業以外にゴルフ場、飛行場に加えてホテルの必要性を説いていた。 祐民からホテル建設を託された盟友青木鎌太郎が東洋紡の土地を譲り受けて建設し、開業した。

=生活と文化を結ぶマツザカヤ=

飛躍的な発展を遂げた松坂屋は、懸賞金をつけて宣伝標語を公募した(1948年)。多数の応募作品の中から茨城県在住の郡司義男氏の「生活と文化を結ぶ松坂屋」が選ばれた。賞金は当時の一万円、上野店の6階でご本人に手渡された。戦後の闇市も横行していたような時代に、この標語を選んだことは意義深い。

1965年からCBCラジオで始まった「0時半です松坂屋ですカトレアミュージックです」でもこのフレーズが流れた。正に現在の百貨店の姿のありように通じる「生活と文化を結ぶ松坂屋」は長きに渡り、お客様と従業員の中に息づいている。

=松坂屋C.M.ソング=

1964年、松坂屋は新しいCMソングを当時ヒットメーカーであった永六輔と中村八大に依頼、「松坂屋C.M.ソング」が誕生。しかし某重役から「振り向いたら」の歌詞にクレームがつき、お蔵入りになった。1965年に始まったCBCラジオの「カトレア・ミュージック」のテーマ曲としてメロディーだけは残った。

■大丸松坂屋の未来像

次に、大丸松坂屋の未来像として、現在の状況をご説明いただきました。全国主要都市に15店と海外・上海にも店舗があることや、松坂屋名古屋店の規模や売上。取り組んでいるいろいろな面白こと。オンラインメディアもやっているが「人」を前面に出していることが特徴と続けられました。

=店舗展開=

全国主要都市に、大丸・松坂屋を15店展開。札幌から九州博多まで、テレビのキー局がある地域に店舗がある。海外には、上海新世界大丸百貨がある。

=松坂屋名古屋店=

開業:1925年5月1日、面積:86,758㎡(ハローナゴヤという語呂合わせ、日本最大級規模)、従業員数:624名、売上:2022年117,733百万円(神戸店と共にコロナ前を上回った)。以上、2023年6月現在。

=いろいろ面白ことやってます=

未来定番研究所
東京谷中の古民家をリノベーションしたオフィスで「5年先の未来定番生活」を研究している。2017年にスタートして、WEBマガジン「FIN」を軸に日々面白いことやっている。リノベーションが素晴らしいと台東区から表彰されたこともある。因みに、初代所長は私・澤田でした。
https://www.miraiteiban.jp/

AnotherADdress
ファッションサブスクサービス。百貨店ならではのハイブランドが中心。
https://www.anotheraddress.jp/

養蜂場
大丸心斎橋店の屋上でハチミツを作っている。
https://www.daimaru.co.jp/shinsaibashi/honeyproject/

DEPACO
オンライン上の化粧品のWebマガジンとEコマースをセットにしたサイト。
https://depaco.daimaru-matsuzakaya.jp/shop/default.aspx

明日見世(asumise)
大丸東京店4Fに「売らない店舗」という、未来のためのショールームを展開。
https://dmdepart.jp/asumise/

お菓子食べ過ぎ会社員
TikTokでバズる企画を出して、マーケティング案件を受託する。TikTokを含めたオンライン上の宣伝広告をプロデュースするビジネス。
https://www.youtube.com/channel/UC42EGuf2eEeE81llvIyglKg

HITCH PITCH 私ならこれを買う!
アートのオンラインマガジン、アートの分野では百貨店の中で当社が自称一番シェア。
https://www.youtube.com/watch?v=l2blZ_33AhY

九州探検隊
博多大丸天神店では、地元の美味しいもの、いいものを探索している。例えば、地元の農産物と加工業者をセットして価値をアップさせている。この方法を全国展開したい。
https://www.daimaru-fukuoka.jp/kyushutankentai/

北のグルメハンター・本田大助氏
北海道物産展バイヤーが有名。
https://www.matsuzakaya.co.jp/ueno/hokkaido/1812/

=大丸松坂屋を一言で言えば=

そして、大丸松坂屋を一言で言えば「価値あるコンテンツを開発し、3つのタッチポイントを使って組織化された顧客にその価値を伝達する会社」と説明。

⇒コンテンツ
・商品
・サービス
・エンタメ
※独自性のある有償で価値のあるものを開発する。

⇒組織化された顧客
・顧客属性データ
・決済データ
・行動データ
※データを駆使してお客様を高度にセグメントしていく。

⇒タッチポイント
・店舗
・オンライン
・外商
※自社の価値をご紹介する場所が3つ
※データが重要になるのでデータサイエンティストを養成中。この春、母校滋賀大のデータサイエンス部の社会人大学院で1名勉強中。

=我々が取り扱う商品の主戦場はどこか=

「生活と文化を結ぶ松坂屋」からの流れでマトリクスを考えると、4つの象限ができる。○縦軸(プライス):低価格(大量生産)→ら高価格(中量~少量生産)。○横軸(役に立つか立たないか):実用性商材(日常生活に不可欠、理性的)→非実用性商材(心の充足に必要、情緒的)。

○第二象限(左上):実用的だが高価格(クラフト軸:職人が丁寧に作っているイメージ、高品質、高素材、高性能、安心安全等々)。 ○第三象限(左下):大量消費を前提とした大量生産、近代的な生産ライン。コストパフォーマンスが重要視され、価格は下落する力が働く傾向にある。
○第一象限(右上):非実用的だが高価格(アート軸:アート性、デザイン性等々)。
○4つの象限と言いながら、クラフト軸(第二象限・左上)とアート軸(第一象限・右上)はセパレートされたものではなく、一対という考え方もある。マーケットは大きく百貨店の存在感を出すことは難しいが、意味性商材としてここを主戦場にする。ラグジュアリー・クリエイター・ファクトリーのブランド、アート・工芸・機械式時計、デパ地下や地方銘産品、老舗ブランドなどが良い例。工賃を下げるためにグローバルで大量生産する商品ライン(第三象限)とは違う場所で勝負する。

■結びとして

百貨店が「小売業の王者」と呼ばれたのは、近代産業としての小売業が主に百貨店しかなかった昭和の時代の話。量販店、郊外型SC、駅ビル、専門店、製造小売、EC、レンタルなど様々なプレイヤーが小売業界に参入し、百貨店からいくつかの分野の商材を奪取してきた。
とは言え、百貨店としてまだまだ強みを発揮できる分野はある。我々はこの分野をまず明確にして、業界内でのシェアを拡大すると同時に、伝統と信用を最大限に活用した新たな分野でのビジネスを展開することで、企業として独自の成長路線を切り開きたい。

時折、笑いを誘う話題をちりばめながら、興味深いお話でした。

「松坂屋の未来像 講演をお聴きして」 記:横井隆幸(大33)

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