コロナ禍となって一年

2020年4月、新型コロナウィルス感染拡大を受けて、彦根キャンパス内への学生の入構を禁止するらしい、との情報を得た私は、意を決し、愛知から大学へJRで向かいました。なぜなら、院生である私は、研究室に置きっぱなしである本や資料を、取りに行く必要があったからです。

彦根駅では、県外から来た私を疎むように「不要不急の外出を控えよ」というアナウンスが鳴り響いていました。「私には必要なのです、大学に行くことが・・・」と心の中でお詫びをしながら、お堀沿いを歩き大学へ向かいました。すると、満開の桜が私を迎えてくれました。その横には休園中の彦根城と休校中の東高、西中。異様ではありながらも、桜を独り占めできた春は、この上ない贅沢でした。

この年、彦根の桜を愛でることができたのはこの日だけとなりました。翌日から、1ヶ月以上にわたって大学への入構が禁止となりました。春学期間に、大学から学生に届いたいくつかの連絡をもとに経過をたどると、表のとおりです。
1月末流行地域への移動禁止
3月上旬課外活動の禁止・卒業式と入学式の中止・滋賀県内で初めて感染者を確認
3月中旬新歓の禁止・就職支援課や保健センターの利用禁止
3月下旬オンライン授業の導入告知
4月上旬授業開始の延期・オンライン授業の実施
4月中旬校内入校禁止
5月上旬校内入校禁止の期間延長(5/31まで)
6月校内入校禁止を解除・学内施設の利用制限緩和

入構禁止が解けたのは6月。それ以降も、学生は大学にほとんどいません。彦根では閉店する飲食店もありました。各団体から学生へ物資の支援があり、奨学金制度も新たに設けられました。

春学期が終わると、学生がキャンパスに少しずつ戻ってきました。課外活動は再開され、9月には新歓も行われました。また、秋学期はオンライン授業と対面授業のハイブリット型となりました。2021年度は多くの講義で対面授業が展開されています。

コロナ禍となって一年

陵水会員の多くが、一生で最もチヤホヤされたと懐かしむ1回生の4月。それを経験できなかった新入生は、どうしているのだろうか、と気がかりでした。しかし、彼らは逞しい。SNSで友人を作り、そこで2回生以上が1回生の相談を受けていました。そして、新入生の多くが秋学期間に各部活やサークルへ入部をし、良き仲間を得たようです。

混乱の1年が過ぎ、2021年3・4月。卒業式と入学式、そして、2回生のための入学式が分散して行われました。感染症対策とはいえ、講堂で卒業式が挙行されたのは何年ぶりでしょうか。耐震工事が終わり、凛と佇む講堂。この講堂に、多くの人が自由に出入りできる日が待ち遠しいです。きっとそれはもうすぐ。それまで健やかに、日々できることを大切に過ごしていきましょう。

改修された滋賀大学彦根キャンパス講堂

記: 今井綾乃(大58・院41)