陵水俳壇43

自句自解

名古屋陵水第43号

鏡餅木遣り中を進みけり
        石橋政雄(大6)
 数年前に、同期の友と国府宮の裸祭を見に行った時の景である。桟敷から見下ろしていると最初に奉納される大鏡餅が通り、引く人々の木遣り歌が印象的であった。
少志もて迎ふ米寿の初山河
        伊與正道(大6)
 今年八十八才の米寿を迎ふ。激動の昭和から今日までよく生きたと思ふ。彦根時代の親しい友も大半は鬼籍に入り、残った人も病みがちである。好々爺が老人の理想の様に云う人もあるが、私は大嫌い。老と云えども、己の意志を持ち堂々と生きたい。現在の社会、政治、TV等に毎日怒って居る。今に至って大志等持ち様がないが、小ながら志を持って生きたい。等と年初に思ったが、もう二月を過ぎ三月に入った。小志燃やし続き得るや否や、これからである。
訃報また寒中見舞いの姿して
        倉坪和久(大13)
 八十才近く急に訃報が増えてきた。年末の喪中はがきはご家族の訃報が多く、賀状を控えればいいだけだが、寒中見舞いは知人本人の訃報がほとんどで、年初からかなりコタえる。「諸行無常の」の人世ながら・・・
オミクロン雪に先立つ伊吹越
        青山政弘(大17)
 毎年日本海から彦根を通り伊吹山を越えて伊吹颪が雪を伴って吹き降ろしてきます。今年はこれに先立ってオミクロンが中国・韓国から日本海を渡って北陸に上陸し、伊吹山を越えて濃尾平野に吹き降ろしてきました。コロナと大雪のダブルパンチで籠り居を長期間強いられています。春が来てコロナも収まり、自由に旅行できるようにと願っています。
応援はスマホの中の運動会
        片岡嘉幸(大25)
 コロナ禍の続く中、北海道住む孫にもう二年間近くも会えていない。スマホに送られてくる孫の頑張る姿を応援するだけの寂しいじいちゃんである。
 
         
  
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