第25回陵水金鯱懇話会

世界選手権優勝のキセキ

第25回金鯱懇話会は、昨年ウィンドサーフィン世界大会(ウィンドサーフィンテクノ293クラス世界選手権)で優勝されました滋賀大学ウィンドサーフィン部4回生の片山好人さんをお招きして、2024年3月16日(土)に開催しました。

『ウィンドサーフィン~世界選手権優勝のキセキ~』というタイトルで、どのようにして世界選手権優勝にたどり着いたかをお話しいただきました。人前で優勝に関する話をするのは初めてということでしたが、落ち着いた話しぶりで見事なプレゼンテーションでした。

第25回陵水亭懇話会 ウインドサーフィン
第25回陵水亭懇話会 ウインドサーフィン

優勝の秘訣と即時対応力

ウィンドサーフィンは、大学に入学してから始めたとのことです。片山さんが入学したのは2020年で、新型コロナ感染症による行動制限がちょうど始まった時期。そのため、クラブ活動は9月からのスタートとなりました。勉学との両立となりますが、講義はオンライン授業が中心だったことで、日中はしっかり琵琶湖で練習して、夜に講義動画を見て勉強するという、大変充実した生活を送っていたようです。

優勝の秘訣は「努力の量×方向性」。年間300日を超える練習に取り組むだけでなく、高校時代に学んだ目標達成のノウハウ(長期目的達成用紙等)を活用したとのことです。そして、クラブ活動のミーティングを活用したり、琵琶湖以外で練習したり、また個人として夏休みにオリンピック代表選手(伊勢田愛さん)の下でアルバイトしながらコーチを受けたりと、様々な工夫にトライして技術向上を図ったそうです。

プレゼンでは、ウィンドサーフィンの競技ルールや競技の魅力についても触れられました。男性が必ずしも有利というわけではなく、無風の時には体重の軽い女性選手が勝つケースがあるとのこと。ルールはかなり詳細に決められており、レースではそのルールを活用するのも戦術の一つだそうです。

意外だったのは、世界選手権で使用したボードやマストは普段日本で使用しているものよりサイズが大きく、現地での練習では転んでばかりいたということ。それでも世界一を獲得するとは、見事な即時対応力だと驚くばかりでした。

むすび

片山さんには卒業前の貴重な時間にもかかわらず、名古屋での金鯱懇話会の講師を快く引き受けていただきました。「このような経験はなかなかできないから」と前向きに捉えていました。また、プレゼンの後の懇親会にも積極的に参加いただき、何ら臆することなく親よりも年上のOBと歓談していました。その姿勢や思考法に触れ、世界一を達成したのも頷けるものでした。誠にすばらしい後輩と過ごしたひと時は清々しく、なにか活力をいただいたような感動を覚えました。

第25回陵水亭懇話会 ウインドサーフィン

事前質問への回答

ウィンドサーフィンを始めたきっかけを教えてください。また魅力を感じるのは、どのような場面ですか?
きっかけは母です。母が趣味でウインドサーフィンをしていたので、興味を持っていました。滋賀大学に入学が決まった際に、ウインドサーフィン部があると知って体験会に行き、スポーツとしての楽しさ、部の雰囲気の良さから入部を決めました。ウインドサーフィンの魅力は、風の力だけで時速40㎞を出せ、水の上を自由自在に滑走することができる点だと思います。
練習日、練習時間はどれくらいで、授業との兼ね合いはどんな感じでやってましたか?
練習は平日の自主練を週3~4日、プラスで土日の全体練習を行っていました。授業の合間を縫って先輩に自主練をお願いし、1回1時間半~2時間程度行っていました。特に1回生の時はコロナの影響でオンライン授業が中心だったので、昼間は練習を行い、夜に受講してレポート課題を提出していました。先輩方には嫌がられるほど、練習をお願いしていたと思います。(笑)
なぜ4年間ウィンドサーフィンを継続できたのか?なぜ優勝できたのか?どのポイントに焦点を当てて、どんな工夫をしたのか?
「努力の量×方向性」を意識していました。大学から始めたスポーツだったので、当然上達には練習が必須です。一年で250日以上琵琶湖に足を運びました。同時に、「成功のために正しい努力を行えているか?自己満になっていないか?」を常に自問していました。部活の速い先輩から教えてもらうことはもちろん、他大学の日本トップレベルの選手や時には元オリンピック選手にも練習をお願いして技術を獲得しました。
優勝したことで、ウィンドサーフィンの向き合い方などに変化はありましたか?
ウインドサーフィン自体との向き合い方は変わっていないと思います。世界選手権では自身の得意なコンディションで優勝できたこともあり、苦手とするコンディションの課題克服に向けての練習を、帰国後直ぐに再開していました。それにしても、世界のトップレベルの選手たちと海外で競い合えたことは、自信につながりました。大学時代に世界一を獲れたことは、人生経験として大きなものだと思っています。
卒業後のウィンドサーフィンへの関わり方を教えてください。
卒業後は、競技としてのウインドサーフィンは引退するつもりです。元々「学生時代に何か一つを極めてみたい」と思って始めたので、後悔なく引退できた今、競技を継続する考えはありません。しかし、母のウインドサーフィン仲間の方や、大学時代で知り合えた他大学の友達とは、趣味としてのウインドサーフィンを一緒に続けていけたらと思っています。
ウィンドサーフィン部は県立大学との合同の部活と聞いていますが、そのメリット・デメリット、また部の歴史を教えてください。
現在、滋賀大学は41年、滋賀県立大学は28年の長い歴史があります。そのメリットは、他大学と交流ができるため、コミュニティが広がることや、練習人数が多くなるため、競い合い易い環境が構築されることだと思います。私は滋賀大学ですが、滋賀県立大学で単位取得が困難な学部でも積極的に練習を行う先輩方に感化され、練習を行っていました。逆に部員が増えることで、幹部運営の統率が取りづらいことがデメリットかなと思います。

記:総会部会・堀 洋一(大31)

■滋賀大学ホームページ
https://www.shiga-u.ac.jp/16541/
■ウィンドサーフィン部ホームページ
http://windsurfing19-77.com/